入社前オンボーディング(プレオンボーディング)とは?内定後から始める不安解消と関係構築

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内定通知を出した後、入社日まで何もせずに待っている企業は少なくありません。しかし、この期間にこそ内定者の不安を解消し、入社後のスムーズなスタートを切るための準備ができます。

この記事では、内定から入社日までの期間に行う施策「プレオンボーディング」の目的・設計方法・実施内容を解説します。入社後のオンボーディングの前段階として、この時期に何をすべきかを整理していきます。

プレオンボーディングとは何か

プレオンボーディング(Pre-onboarding)とは、内定通知から入社日までの期間に行う施策全般を指します。従来のオンボーディングが入社後に始まるのに対し、プレオンボーディングは入社前から新入社員との関係構築を開始します。

プレオンボーディングが注目される背景には、内定辞退の高止まりがあります。就職みらい研究所の「就職プロセス調査(2025年卒)」によると、2024年6月1日時点の内定辞退率は56.4%とされています。内定者は入社日まで不安を抱えたまま過ごすことが多く、その間に他社からのオファーがあれば迷いが生じやすくなる傾向があります。こうした状況に対して、内定期間中から組織として関わりを持つことが内定辞退防止と入社後の定着につながります。

プレオンボーディングの3つの目的

プレオンボーディングには以下の3つの重要な目的があります。

1. 内定辞退の防止

定期的なコミュニケーションと情報提供により、内定者の不安を解消し、入社への意欲を維持します。「本当にこの会社で良かったのか」「自分にできるだろうか」といった迷いが生じた際に、組織側からのフォローが関係継続の鍵になります。

2. 入社前の不安解消

「どんな人たちと働くのか」「どんな仕事をするのか」「職場の雰囲気はどうか」といった疑問に事前に答えることで、入社日の心理的なハードルを下げることができます。

3. 入社後の立ち上がり加速

入社前に職場の基本情報や業務の概要を理解してもらうことで、入社後のオンボーディング期間を短縮できます。これにより、より早期の戦力化が期待できます。

情報提供の設計:何を・いつ・どう伝えるか

プレオンボーディングの成否は、適切な情報を適切なタイミングで提供することにかかっています。

提供すべき情報の種類

  • 会社情報:企業理念、事業内容、組織構造、企業文化
  • 職場情報:配属部署の役割、チーム構成、主な業務内容
  • 実務情報:入社初日の流れ、必要な持参物、服装規定
  • 制度情報:勤務時間、休暇制度、福利厚生、評価制度
  • 環境情報:オフィスの場所、最寄り駅、社内設備

情報提供のタイミング設計(目安)

時期 提供情報 目的
内定通知直後 入社までのスケジュール、連絡先 安心感の提供
内定から2週間後 会社概要資料、企業理念動画 帰属意識の醸成
内定から1ヶ月後 配属部署の紹介、業務概要 具体的なイメージ形成
入社1ヶ月前 入社準備リスト、初日スケジュール 実務的な準備
入社1週間前 最終確認事項、歓迎メッセージ 入社への期待感醸成

上記はあくまで目安です。内定から入社までの期間や内定者の状況に応じて調整してください。

効果的な情報提供の方法

  • 動画メッセージ:社長や配属予定の上司からの歓迎動画
  • デジタルブック:会社紹介や制度説明をまとめた電子資料
  • メール配信:定期的な情報提供とコミュニケーション
  • 専用サイト:内定者向けの情報ポータルサイト

関係構築の施策

情報提供だけでなく、実際に職場の人々と接触する機会をつくることが重要です。

入社前の職場訪問

内定者が実際に職場を見学し、働く環境を体感する機会を提供します。オフィスツアーを実施し、自分の席や使用する設備を確認してもらうことで、入社への具体的なイメージを持ってもらえます。

チームとの顔合わせ

配属予定のチームメンバーとの顔合わせ機会を設けます。ランチミーティングや懇親会形式で、リラックスした雰囲気で交流できる場をつくることが効果的です。バディ制度を導入している場合は、この段階でバディとの顔合わせも行います。

歓迎メッセージの収集

チームメンバーや関連部署から内定者への歓迎メッセージを収集し、動画やメッセージカードとして届けます。「あなたを待っている人がいる」という安心感を与えることができます。

内定者同士の交流機会

同期入社予定者同士の交流機会も重要です。内定者懇親会やオンライン交流会を開催し、入社前から横のつながりをつくることで、入社後の孤独感を軽減できます。

環境整備チェックリスト

内定者が入社日からスムーズに業務を開始できるよう、事前の環境整備が必要です。

物理的環境の準備

  • デスク・椅子の確保と配置
  • PC・モニター・キーボード・マウスの準備
  • 電話機の設置(必要な場合)
  • 文房具・備品の準備
  • ロッカーや収納スペースの割り当て
  • 名札・IDカードの作成

システム・アカウントの準備

  • メールアカウントの作成
  • 社内システムへのアクセス権限設定
  • 必要なソフトウェアのインストール
  • クラウドサービスのアカウント作成
  • セキュリティ設定(VPN、認証システム等)

書類・資料の準備

  • 雇用契約書・労働条件通知書
  • 入社手続きに必要な書類一式
  • 組織図・連絡先一覧
  • 業務マニュアル・手順書
  • 社内制度説明資料

受け入れ体制の準備

  • 直属上司への事前説明
  • チームメンバーへの新人受け入れ準備依頼
  • 初日スケジュールの調整・共有
  • OJT担当者・バディの決定
  • 初週の業務計画策定

プレオンボーディング成功のポイント

一方的な情報提供で終わらない

情報を送るだけでなく、内定者からの質問や不安に対して双方向のコミュニケーションを心がけます。定期的に「何か気になることはありませんか?」と声をかけ、内定者が相談しやすい雰囲気をつくります。

個人に合わせたカスタマイズ

内定者の経験やバックグラウンドに応じて、提供する情報や支援内容を調整します。新卒と中途採用、職種や配属部署によって必要な情報は異なります。

継続的なフォローアップ

一度に大量の情報を提供するのではなく、段階的に必要な情報を提供し、定期的にフォローアップを行います。内定者の理解度や不安レベルを確認しながら進めることが大切です。

プレオンボーディングは、90日間のオンボーディングの前段階として重要な役割を果たします。入社前の関係構築・情報提供・環境整備を丁寧に行うことで、内定辞退を防ぎ、入社後の早期戦力化につなげることができます。